ミラノから年末のご挨拶

クリスマス霧の深まるミラノより、こんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

12月に入り、市内では至るところにクリスマスツリーが飾られて、今年も一年で一番輝かしい季節の到来です。ミラノでも街中にイルミネーションやプレセーペ(キリスト誕生を祝う聖家族の舞台)が飾られて、いつにもましてエレガントでシックな雰囲気にあふれています。

クリスマスツリー
ミラノ大聖堂前のクリスマスツリー

今年も引き続き感染対策を意識しながらの一年でした。それでも一年の終わりという節目に向かって、お世話になった人たちに会ったり、プレゼントを交換したり、楽しみなイベントも増えてきます。

この時期は何かしら忙しくなり、どこか前のめりで突き進みながらも、心と身体を慈しむために立ち止まる必要性も感じています。ここ数年、コロナの影響で世界中に閉寒感があふれていました。でも、目の前のことを全力でこなしていたら、培ったレジリエンスがあることに気がつきます。

そんな忙しい中ですが、幸運にも私たちの学校はミラノの守護聖人、サンタンブロージオの祝日で、5日間の長い週末があり、少し一息つけました。この機会に我が家もクリスマスの準備を済ませ、ゆっくり落ち着いた気持ちで冬支度ができました。

イタリア国立モンテッソーリ協会本部
Opera Nazionale Montessori (ローマのトラステベレ地区にあるイタリア国立モンテッソーリ協会本部)

先月はローマで行われたAMI国際モンテッソーリ協会のトレーナーズの《モンテッソーリの足跡を辿る旅 in Rome》に招待を受け、参加してきました。その中で濃厚な二日間に沢山の素晴らしい出会いや発見があり、私自身、脳を鷲掴みにされたほど、深く感化されました。

私がモンテッソーリ教師になってから、来年で23年目を向かえます!長いような、それは短いような一つのジャーニーでした。ずっとここまで大陸を超えて続けてこられたのは、導いてくださった恩師の存在や私自身の内に感動があったからです。

その長い道のりで人種やソーシャルクラスや宗教を問わず、大勢の子どもたちに私は出会ってきました。今回、ローマで訪れた場所はモンテッソーリ所縁の土地ばかりでしたから、尚更、深く感じるものがありました。

謙遜にも私がイタリアで今まで歩んできた道のりや学んできたこと、積み重ねてきたこと。すべては、そこに繋がって行くのだ!という強い確信が舞い降りてきたのです!

モンテッソーリアンとして、この道を歩み続けるにあたって、一つの新たな目標との出会いは、私に希望の光を与えてくれました。更にトレーナーの先生方からたくさんの励ましもいただき、私は2023年をそのための準備期間に当てようと思っています。時期が来たら、ブログでもご報告いたしますね。

子どもの家さて、ミラノの子どもの家もクリスマスの時期はどこかワクワクするようなマジカルな雰囲気に包まれます。子どもたちは、小さな手を使い、黙々とお仕事に励んでいます。混沌とした世界でも、子どもの世界は愛にあふれており、至って平和なものです。

先週の金曜日は、午後にトランスパレントペーパーを使い、クリスマスのお星さまを作りました。8枚の紙を選ぶのにもそれぞれ好みがあり、選ぶ色合いにもその子らしい個性が現れます。

朝の三時間のお仕事に深々と取り組む年長さんの子どもたちも、午後はリラックスモードでお手紙を書いたり、日当たりのよいコーナーで絵本を読んだり、日常生活のお仕事に励んだり、と心地よい空間で一日を終えます。

イタリアの学校には行事が少ないので、急いだり、慌てる必要もないのです。ゆっくりと流れていく沿線上に当たり前のように文化という土台があり、芸術があり、音楽があり、子どもたちの教育が位置付けられています。

クリスマスのポマンダー
子どもたちが作ったポマンダー(オレンジとクローブで作るクリスマスのオーナメント。昔からヨーロッパでは、魔除けの意味もあり、冬の除菌に使われていました。)

これは朝のお仕事の時間でも感じるのですが、大人が主導するのではなく、環境の中に子どもの感性に響くものを準備しておくことが大切な鍵を握るのです。

環境が整い、しっかりと準備されていれば、子どもは自発的に動き出します。

自発的に動けないほど制限が在る中で知識を得ることは、教育の本質ではありません。先ずはある程度、自由でなければいけないことを大人は忘れてはいけないと思います。

《私たちの目的は、子どもたちに理解させることだけではなくて、彼らの想像力に触れることです。-マリア・モンテッソーリ博士》

この想像力に触れる、ということを大切にしたいと私は考えています。何故ならば、種に触れたら未来が拓く。ましては繊細でデリケートな子どもたちが気がつかない内に根っこを引き抜いてはいけないのです。

大人が何かをさせようとするとき、又は無意識にも子どもに自分がしてほしいものをさせようとすることが私たちの本来の目的と真逆に向かう落とし穴だということは、モンテッソーリアンにとっては、ゴールデンルールです。

観察では、子どもたちが自らの自由意思で選んだものだけが私たちにその子どもの世界を語り、興味や好奇心というまるで海を渡る航海図のようなサインを与えてくれることになるでしょう。

道しるべとなるのは、子どもたちの内にあるグリマー(輝き)そのものなのです。ドキドキや楽しさ。学びの原点はそこにあります。それを見つけるために、私はあらゆる工夫をして、観察を重ねてきました。きちんと見ずに導くことは、できないのです。

そんなことを思いながら、コロナやあらゆる逆境を乗り越えた後の静けさを味わいつつ、今年も沢山のことを得たなと一年を振り返り、しみじみ思います。

サンパウロ書院出版の家庭の友での連載も早いもので三年目となります。モンテッソーリ元祖の地、イタリアにいるからこそ触れられる本物がある。私はそのことに運命を感じて、感謝しています。

皆さまはどのような一年を過ごされたのでしょうか?ここに来て日本ではコロナの第八波が押し寄せているとか?どこにいてもヘルシーで笑顔あふれる年末年始でありますように、と祈らずにはいられません。

今年も多忙でなかなか更新できなかったブログを訪問して、読んで下さり、どうもありがとうございました。思い起こせば、2022年幕開けの一月のオンラインセミナーでは、160名を越える方々と繋がることができ、とても嬉しいスタートでした。

私自身のモットーは変わっていません。どんな時も諦めずにいつも笑顔で、素直に正直に… そうであれば、必ず道は開けると信じています。今後も小さな子どもと向き合う全ての方に、少しでもヒントや希望の光をお届けできましたら幸いです。

我が家ではクリスマスは、ローマで親族一同と過ごす予定です。大勢で食卓を囲む賑やかなクリスマスイヴとなりそうです。

クリスマスツリーBuon Natale 2022!
皆さまも素敵なクリスマスを!

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