イタリアの新学期のはじまり

 

ミラノより、こんにちは。中秋の名月を迎え、季節は秋へと移り変わりはじめました。輝かしい新学期の始まりです。イタリアの長い夏のバカンスを終えて、日焼けした子どもたちが街に帰ってきました。私たち教師は、子どもたちが初日を迎える一週間前に仕事に戻り、環境の準備を丁寧に行い、その日を待ちました。

3ヶ月の長い長いヴァカンスを終え、いよいよ新学期のはじまりです!

とは言え、イタリアには日本のような入学式や卒業式らしきセレモニーがありません。運動会のような行事もほぼないのです。但し、これは学校によって異なります。息子の通うカトリック系私立の高校では、通常は、初日にオリエンテーションのようなものがあり、午前中だけの登校期間が設けられて、翌週から授業が始まります。その翌週には、理系の子どもたちには、スイス国境の山荘への旅行が組み込まれています。学校によっても違うんですね。

私たち子どもの家では、このようにとても緩いスタートです。初日は、前年度の持ちあがりの年中さん年長さんに新しく入ってくる同年齢の子どもが混じって登園します。朝、3か月ぶりに会う子どもたちの姿が大きく成長させられているのに驚き、喜び、感動する嬉しい瞬間です。保護者たちともキスとハグの嵐になり、初日は顔合わせといった具合です。お仕事も一時間とお外遊びで帰宅します。

集中力を発揮する子どものお仕事

翌日は、新しく入園してくる三歳児の年少さんたちをグループに分けて、少人数制で受け入れます。大体3名ずつくらい、保護者も入り口まで入れますし、場に慣れるためのセトルインピリオドです。一時間ほどなので、中には、泣いている子どももいますが、大抵は、日常生活などのお仕事に興味を示し、今度は帰りたくないと泣くパターンが多いのです。これは、良いサインです。また明日、会いましょうと明日につながります。そして、じっくり関われますからここは、優しくて楽しい場所だという印象を与えます。

3日目に初めて全員が登園しますが、朝の入園に時間差を作り、まずは年少さん年長さんが登園します。彼らがお仕事に集中し始めたころ、年少さんたちを受け入れるのです。そうすると大きな子どもたちが刺激になりますから、親離れも比較的スムーズにいきます。今度は、離れられないお母さま方にコーヒーでも角のバールで飲んで来て下さいと伝えます。

新学期の進め方は、色々な方法があると思います。私たちは、初めはモンテッソーリ教具に交えて、パズルや曼荼羅の塗り絵のようなもの、砂に貝殻を入れた五感で触れられるもの、季節のもの、などを多く用意しています。夏の間に子どもたちが海や山で体験したことを思い出せるように配慮するのです。

四季が描かれたフィンランドの手作りの木製パズル

そして、同時進行でクラスでの歩き方、座り方、トレイの運び方、あいさつの仕方、など基本的なことを徐々にゆっくり丁寧に見せていきます。先ずは、子どもたちとの関係作りが先だと考えるからです。そして、環境に気を配り、教具は、クラスの子どもたちの様子を観察しながら、少しずつ加えていく。一つ足して、一つパズルなどを引く、そのようなやり方でうまくいっています。初めから全部、出すようなスタイルは選んでいません。

でも、私がロンドンで務めたモンテッソーリスクールでは、初めから環境にすべての教具が配置されていました。それももう一つのやり方です。「教育とは、関係作りである」とかつての恩師が教えてくれました。私は、個人的に少しずつ出していくやり方の方が好きです。信頼関係が結べることに重点を置きつつ、環境という空間で教具の力を借りて、子どもたちを魅了していきます。しかし、ここで大切なことは、教師自身が自らの体験を元に、直観で選んでいくべきものでしょう。

特にイタリアでは、ヴァカンスの間の丸3か月間、子どもたちもお仕事を遠のいています。随分と忘れることも多く、私たち教師にとっても取り戻すための時間がたっぷりあった方がいいのです。飛行機で例えるならば、環境つくりは、燃料チャージやお掃除に似ています。長く飛ぶためには、その分の準備期間が必要となり、大空めがけて滑走路を勢いつけて全力で走っていく。それだけのエネルギーが必要なのが離陸だからです。

カラフルな教具に夢中になる子どもたちのお仕事の様子

私は、子どもたちによく語りかけます。語りかけは、本当に大切なコミュニケーションです。子どもたちを観察して、臨機応変な対応をしていく。モンテッソーリアンというのは、引き出しがたくさんあればあるほど豊かさを分かち合えます。去年と同じ年はないのです。なぜならば、子どもたちが入れ替わり、年長さんはもうエレメンタリースクールへ上がりました。新たなメンバーを迎え入れて、また新しい一年が始まるのです。

そして、年中さんも年長さんも去年と同じではありません。移り変わっていく、成長していく。それだから、このお仕事は常に新しいく刺激に満ち溢れています。個人的に今年は、原点回帰の年にしようと思います。左足を原点につけて、右足で斬新な挑戦を続けていく。迷ったら、右足を左足のある原点に戻せばいいのです。

そして、環境というものは目には見えない言葉を持っています。言葉に出さずとも感じられるその場の空気やオーラ、雰囲気というものがあります。美しく、シンプルに、機能的に!本質を見極めていく。自由な柔らかいこころで実り豊かな秋を迎えたいと思います。

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