ガーデニングのお仕事と子どもたちの感覚
ミラノより、こんにちは。
春になって、雨の日もあれば、風の強い日もあり、お天気がとても変わりやすい日々です。
日本では、桜も散り始めた頃でしょうか。それぞれの場で入園式、入学式も終わり、新しい年度が始まった頃ですね。
ミラノは、ずっと雨ばかりでグレーな日々だったのですが・・・、金曜日の朝、空がからっと晴れました。午後には、クラスの子どもたちとお庭でガーデニングをすることに。この日のためにお花やハーブ類を買っておいたのです。
先ずは、子どもたちにこれから植えるハーブのお話をします。バジル、ローズマリー、セージ、ミント、タイム。今回は、この6種類に加え、苺とトマトの種とマーガレットも植えることに。子どもたちは、大喜びです。
私にとって土に触れる事、泥んこになる体験、木登りや隠れんぼなどは、幸せで輝かしい幼児期の記憶です。自然に触れると大人も心がリフレッシュできて穏やかな気持ちになりますね。
ローズマリーの香り、ミントの香り、バジルの香り・・・etc。 感覚的に体験しながら、子どもたちが参加できるように配慮して子どもの声を聞きます。早速、バジルの話になると、こんな具合に展開がありました。
「ローズマリーは、チキンとポテトに合わせてオーブンで焼きまーす!」5歳児の男の子が元気よく言いました。続いて・・・、「セージは、ウサギを焼くときに、ちょっと入れるとよい香りがしまーす!」とは、4歳の男の子。目をキラキラと輝かせています。
「バジルは、カプレーゼ(イタリア風のトマトとモッツァレラチーズにバジルを合わせたサラダ)にしたり、ペスト・ジェノベーゼ(バジルのソース)にも出来まーす!」 ともう一人の5歳の女の子が言うと、横から、「ミントは、紅茶に入れるのが私のママのお気に入りでーす!」「タイムは、、、何だったかな??」
子どもたちから出て来る、出て来る!止まらずにハーブレシピのお話が展開を見せるのです。こうやって「香り」から、自然に話題は《食》につながっていく。《感覚》で遊びたい月齢には、見るもの、聞くもの、触れること・・・、全てが新鮮で敏感な反応となるのです。
おうちで食べる誰よりも美味しいマンマの味。そのまたノンナ(祖母)の味。そこには、笑顔と愛情が詰まっています。子どもは、すべてを全身全霊で吸収しています。ハーブに纏わる北イタリアの家庭の食卓の様子が、そのまま子供達の反応に集約されています。「豊かさとは?」と私も考えさせられました。
イタリアの子どもたちは、家庭でも学校でもゆっくり時間をかけて食べる習慣があり、家族との会話をたくさん味わっています。母親も愛情のかけ方に注意力があり、母性にあふれています。時には、祝日やお誕生日などで大勢の親族で食卓を囲む食文化があることも改めて実感しました。
さて、皆でガーデニングをした後は、クラスに戻り、とある年長さんは、独自の発想でハーブのレシピ本を書きたい!と予め用意されてあったハーブ類の絵カードを広げて、黙々と活動を開始しました。
それぞれに自由選択のお仕事ですが、ヨーロッパの地図のお仕事をする子、国旗のお仕事をする子、縫い物のお仕事をする子、本を読む子、足し算をする子・・・etc。 みんな自分のやりたいことを自由意志で選ぶ。モンテッソーリは、なんて自由で素晴らしいのだろうと思いました。
もちろん、今日のガーデニングで植えたハーブ類は、日常生活のお仕事でも大活躍します。写真は、4歳児の女の子がポテトを洗い、皮を向き、切り、オリーブオイルとお塩とお庭のローズマリーで味付けして、調理の最終準備をしているところです。
生きた学びは、ドキドキ♡ワクワク感があり、楽しいですね。この後、焼きあげたポテトは、お昼に皆で頂くのです。日常生活の作業は、暮らしを豊かにする土台だと思います
そして、これから雨降りの日以外は、水やりは子どもたちの仕事です。子どもの家というのは、コミュニティなのです。子どもも大人も日々、育てる喜びを分かち合いながら・・・。明日もどうか晴れますように!
イタリアでは、今週末は復活祭です。子どもたちが刺繍のイースターエッグを嬉しそうに持って帰りました。