子どもの好奇心を静かに見守るということ
明けまして、おめでとうございます。
秋から仕事で多忙な日々が続き、ずっとブログを更新できないまま、とうとう新年を迎えてしまいました。今年は、もっと頻繁に軽やかな気持ちで大好きな写真も添えて、たくさん記事を書いていこうと思います。
さて、時間を少し遡り、クリスマス前の出来事を思い出しています。12月の初め、ミラノでは気温が零度となり初雪が降りました。
この日、子どもたちは朝からそわそわしていました。クリスマス前というのは、いつもそうです。そこで折り紙や切り紙で雪の結晶を作ったり、窓にデコレーションを飾ったり、キャロルを口ずさみながら過ごしていた時のことです。
二人の男の子がトイレに行ってなかなか戻って来ません。普段、子どもの家では、おうちにいるかのように自由に子どもたちが動くのですが、さすがにこの日は気になって…、ちょっとトイレを覗きに行きました。
そこで目にした光景が上のモノクロの写真です。4歳児が二人、窓にすいつくようにピタッとくっつき、雪を静かに眺めているのです。声をかけずにその様子を見ているとこんな会話が聞こえてきました。
「雪は、どこから来るんだろうね?」
「外の木々の葉っぱが寒そうだね。」
「僕のおうちには暖炉があるんだ」
「なんて美しいんだろうね。」
「ママが言ってた。サンタさんは、もっと雪がいっぱい積もった国に住んでるんだって。寒くてもトナカイは平気なんだって!」
「その国は、フィンランドのLapponia (ラップランド)って言うらしいよ。Tiina先生が生まれた国だ。行ってみたいなあ。」
「知ってるかい?国旗は、白とブルーだよ。地図のお仕事で一緒にどこか探してみようか?」
写真にその後ろ姿を一瞬、収めて早足でクラスに戻りました。二人を待ち続け、様子を見ていたら…真っ直ぐにヨーロッパの地図のある地理のコーナーへ向かって行き、一人は国旗の絵カードを持って来ました。
「あら、素敵ね。ヨーロッパの地図のお仕事を二人でするのね。」と二人にウィンクをして、見守りました。翌日、その中の一人はヨーロッパの野生動物のお仕事を始め、もう一人は、北欧の国旗を作成し始めたことも興味深いと思いました。
誰一人と同じ子どもはいません。会話から生まれた小さなパン種のような流れでも全然よいのです。クッキーをひたすらこねて形作り、焼くような些細なことでもいいのです。「興味」というものは、同じ興味でも、色んな扉があるのです。
子どもたちから発信されるサインを見逃さず、観察しながら見守ることの大切さを実感させられた雪の日でした。
イタリアでは、1月から充実期の2学期です。新学期に、また一段と成長した子どもたちの姿に会えるのが楽しみです。
2020年も皆さまにとって実り豊かな一年となりますように。今年もどうぞ宜しくお願いします。